11月25日に香港で行われた『香港同志遊行2017』に参加してきました。今回のテーマは「轉風執位 歧視歸西」「Turn the Tide~ Walk with Pride~ Discrimination Says Goodbye」です。「形勢を変えよう。プライドを持って歩こう。差別をなくそう」というような意味のようです。実行委員会に伺ったところ、今回は約1万人が参加したそうです。

『香港同志遊行』はパレードのスタートする会場とゴールする会場が異なります。スタートの会場は、香港で一番の繁華街・銅鑼湾(コーズウェイベイ)にあるビクトリア・パーク(名前の似ているビクトリア・「ピーク」ではありません)、ゴールの会場は、金融の中心・中環にあるエディンバラプレイスです。

銅鑼湾駅に到着をして、駅と直結している日系デパートの「そごう」から地上に出ると、賑やかな繁華街で、買い物に来た人たちがたくさんいます。パレードとは関係なく、そごうの周辺では、様々な政治団体が政治的なアピールをしています。香港人の政治への関心の高さを感じますね。

そごう周辺の政治的アピールの一つ。他にもいくつもありました。

パレード会場であるビクトリア・パークは、そごうから歩いて5分弱のところにある公園です。東京でいうと、銀座のど真ん中に公園があり、そこから銀座の繁華街を通ってパレードが出発するイメージです。

ビクトリア・パークは、スタート会場なので、ステージと、パンフレット配布や公式グッズ販売の実行委員会のブースだけが設営されています。

スタート会場の入り口

スタート会場「ビクトリア・パーク」の様子

公式グッズの販売ブース

フリーハグをしている方

トランズジェンダー・カラーのプラカードを背負ってアピール

スタート集会では、当事者団体の人々や、EUやアメリカの領事館の皆さん、そして、香港の雨傘運動で活躍をして、その後、立法会議員に選ばれたものの、先日、資格を喪失した元立法会議員の羅冠聡や、雨傘運動のスポークス・パーソンをしていた周庭がステージでスピーチをしていました。アメリカの領事館の代表者は、「LGBT rights are human rights」と言っていて、その発言が印象に残りました。

EUとアメリカの領事館の皆さん

当事者のみなさん。ステージ中央の青いセーターの方は、香港の有名なインターセックスの活動家、ドクター・スモールですね。

外国人労働者のプライドイベントの実行委員の皆さん

羅冠聡(マイクを持っている人)と周庭(右から3人目)のスピーチ

羅冠聡や、ステージには登っていませんでしたが、同じく雨傘運動で活躍した黄之鋒も会場に来ていました。この2人は、雨傘運動は非合法集会であるとして実刑判決を受け、つい先日まで刑務所に収監されていたので、2人が会場に来ていて驚きました。その他にも、朱凱廸や楊岳橋など、有名な香港の民主派議員も来ていて、香港の民主派の人々にとって、セクシュアル・マイノリティの権利擁護がとても大事なテーマになっていることが分かりました。

スタート集会が終わると、いよいよパレードのスタートです。パレードの先頭は巨大レインボーフラッグです。このレインボーフラッグの最後尾を政治家が持つのですが、スタートの前にはその持っている姿の撮影タイムがありました。その時に撮影しているメディアの多さに驚きました。東アジアのパレードの中では、取材に来ているメディアの数は、ずば抜けているのではないでしょうか。

スタート前の撮影タイム

パレードがスタートすると、銅鑼湾から中環に向かって、香港島の目抜き通りを歩いていきます。香港パレードの素晴らしさはいくつもあるのですが、その一つがパレードのルートです。香港パレードは、ルートも華やかな上に、すぐ脇を香港名物の2階建てバスやトラムが走り、さらに乗客が応援してくれるのです。素晴らしいパレードルートです。

スタート直後の様子。そごうの前を通っています。

沿道には、パレードの応援の人と、買い物客が合わさり、多くの人が見物しています。

トラムや2階建てバスからの応援

香港の沿道の人は、とてもノリ良く応援してくれます

パレードの途中に設置された、メッセージを書くコーナー

フリーハグのコーナー

沿道で配布していたティッシュ。HIVの予防啓発のものですね。

いよいよゴール目前の最後のコーナーです。

最後のコーナーは、巨大レインボーフラッグをくぐっていきます

ついにゴールです!

ゴールの会場は、周囲から高くなっているエディンバラプレイスです。ゴール会場では、10個ほどのブースが出店されていました。当事者団体や金融機関のブースなどが出ていて、物販や商品がもらえるゲーム、グッズ配布などを行っていました。

ゴール会場の雰囲気

グッズ販売のブース

「TENGA」のブースもありました。

香港のホテルによるゲームのブース

金融機関のブース

同性間DVの啓発用クリアファイル

ゴールした後にも、ステージでの出し物があります。プロの歌手や手品師のパフォーマンス、当事者による合唱などがありました。さらに、出し物の間に、協賛団体の表彰もありました。 歌や手品は、クオリティが非常に高くて、エンターテイメントのクオリティも、香港パレードの素晴らしいところの一つです。

歌の出し物。聞き入ってしまいます。

「The Harmonics」という合唱団のパフォーマンス。

手品の出し物。

協賛企業の表彰

ゴール会場で見かけたペアルックの2人。仲が良さそうですね。

ソウルや台北のパレードには日本人も多く参加していますが、香港パレードには日本人はまだまだ少ないです。ソウルや台北パレードに負けない魅力が香港パレードにはたっぷりあるので、日本からももっと参加する人が増えると良いと思います。

最後に、この記事を読んで参加したくなった方のために、香港の天気について触れておきます。今回は、予報では、一時雨の予報だったものの、実際は、曇ってはいましたが、最後まで雨は降らず、非常にホッとしました。私は香港パレードには今回を入れて3回、さらに、『七一大遊行』という、民主主義を求める毎年恒例のパレードにも1回参加しました。そのうち、今回以外は途中で雨が降り、特に、2回は、大粒で強い雨が降ったので、途中で体力が尽きて、リタイアをしてしまいました。日本人の私は香港の雨の強さにびっくりしましたが、香港人の参加者は、準備も万端で、当たり前のように歩き続けていました。香港パレードに参加の際は、濡れてもすぐに水が抜けるクロックスを履くことや、スマホが入るジップロックを用意するなど、大雨が降った場合の対策をしておくと良いと思います。

羅冠聡と記念撮影をする筆者。プラカードには雨対策のラップをしてあることにご注目ください。

取材・文/中村貴寿

■『香港同志遊行2017』

日時:2017年11月25日(土)14:00〜
テーマ:「轉風執位 歧視歸西」 Turn the Tide~ Walk with Pride~ Discrimination Says Goodbye
参加者数:約10,000人
公式サイト:http://hkpride.net/hk/