2014年から毎年、『東京レインボープライド(TRP)』に協賛していただき、今年で6年目となる(株)チェリオコーポレーション。これまでの経験がどのような変化を社内にもたらしてきたのか。ダイバーシティを推進してきた専務取締役の菅大介さんに、ご自身の経験なども含め、語っていただいた。

   

株式会社チェリオコーポレーション
専務取締役 菅 大介

——まず、ダイバーシティ&インクルージョンを考える「原点」となるような経験があれば教えてください。

 大学時代、アメリカの地域文化研究という分野の中で、ハワイの先住民族について研究をしていました。ちょうど、ハワイがアメリカに併合されて100周年くらいのタイミングで、議論や研究が活発だったこともあるのですが、その研究を通して、「マイノリティ性」へのまなざしを培うことができたと思っています。そして大学卒業後、アメリカに留学をするのですが、そこでは私自身が人種的マイノリティという属性を経験することになるわけです。多様な人々で構成されている社会にあって、どうやってインクルーシブにコミュニティを作るのか、あるいは、一人一人がメンバーとしてどういうふうにインクルーシブになるのか。それぞれがみんな、努力をしているのを目の当たりにしました。自分もマイノリティなんだけど、でも自分の特徴をみんなが認めてくれて、コミュニティの一員としてもらった経験を通じて、「自分一人では生きられないんだ」ということを実感し、日本に帰ってきました。そのとき思ったのは、日本というのは「単一民族国家」という前提があるような感じがして、「みんな一緒」という教育をするんですけど、見てみると「みんな違う」わけです。やっぱり、一人一人の特徴を活かしていくことを考えたほうが、コミュニティ全体としては盛り上がるのではないかと思ったんです。それが原点の1つです。

 もう1つは、当事者との出会いです。中学・高校と同級生だった親しい友人が、高校を卒業するタイミングでカミングアウトしてくれたんです。一緒に食事をしているときに、「実はゲイで」と言われ、でも、私も他の友人たちも、「そりゃそうだろう」って誰も驚かなかった(笑)。彼は今、自分らしく生きていきやすく、また、能力も発揮しやすいだろうということで、イギリスで仕事をしています。ただやはり、親御さんが日本にいて年を取ってくると、戻ってきて面倒を見ようかなといった話も出てきて、そんな彼を見ていると、日本にLGBTQフレンドリーな会社とかコミュニティがあれば、親御さんと一緒に日本で幸せに暮らせる環境が作れるんじゃないか、と考えたりもします。

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