アジア最大のプライドパレード『台灣同志遊行』が、今年も開催されます。2003年をスタートに毎年開催され、今年で16回目を迎えます。ここ数年はずっと、10月の最終土曜日の開催で、今年も10月27日(土)に実施されます。
今年のテーマやルート、参加フロートなどの発表はまだですが、興味を持った方、参加してみようと思った方は、おいおいウェブサイトで確認してみてください。
今年のトピックとしては、パレードの日とその翌日、10月27日&28日に、ゲイタウン西門の「紅楼」前の広場で、今年が第1回となる『台北市國際彩虹文化節(台北市国際レインボーフェスティバル)』(Taipei Rainbow Festival(TRF)が開催されること。LGBT関連のブランドや企業のブースが出展され、特設ステージでは人気DJやパフォーマーのライブが楽しめます。ぜひ足を運んでみてください。
●TPRF公式サイト:https://www.taipeirainbowfestival.com
東京レインボープライド(TRP)では、今年もフロートを出展する予定です。ぜひ、一緒に、台北の街を行進しましょう。
今からパレード当日が来るのが待ち遠しいところですが、TRPでは昨年もフロートを出しました。その時のもようを、参加したTRPスタッフのコメントとともに紹介します。
『台灣同志遊行 2017』リポート
2017年10月28日(土)に、台湾は台北市で開催された『台灣同志遊行 2017』に、今回も東京レインボープライド(TRP)としてフロートを出展し、参加しました。2013年から毎年、台北のパレードにはフロートを出してきましたが、今回は特に「スペシャル」なものになりました。
今回の台湾でのパレードには、今までとは違う、特別な意味合いと熱気がありました。
2017年5月24日に、台湾の司法院が「同性同士の結婚を認めない民法は憲法に反する」という判断を下し、また、台湾政府に、2年以内に民法を改正するか、新しい法律を作って、同性同士の結婚を認めなければならない、としたのです。つまり、2019年の春頃までには、台湾では、婚姻が平等化され、同性同士の結婚が法的に認められるようになる、というわけです。2017年は、アジアで初めて、「同性婚」が容認された記念すべき年になったのです。
これはもう、セレブレーションで、コングラチュレーションで、おめでたいことこの上なく、大いに盛り上がること請け合いのスペシャル感満載なのです。
さらに、私たちにとってスペシャルだったのは、今回の台北パレードのTRPフロートに、歌手のMISIAさんが乗ってくれたことでした(http://www.misia.jp/index_main.php)。
これまでも、様々な形でLGBTコミュニティを応援してきてくれたMISIAさんが、台湾で私たちTRPのフロートに乗って、台湾と日本、そしてアジアのLGBTコミュニティの架け橋になってくれたのです。こんなにスペシャルなことはありません。
MISIAさんが乗ったTRPのフロートには大勢の人が詰めかけ、DJ EMMAさんのプレイとともに、熱狂的ながらピースフルで、LOVEにあふれた至福の時間となりました。
MISIAさんは、パレード後のステージで、参加者に向けてスピーチをしてくださいました。
世代も、人種も、セクシャリティーも、そんな枠を取り払って、
すべての人が愛と平和に囲まれて暮らせる世界になればいいと願っています。
★「MISIA OfficialSite」より:http://www.misia.jp/news/date/2017/10
MISIAさんのスピーチが終わると会場は、笑顔と涙に彩られ、大きな「LOVE」につつみ込まれました。こうしてスペシャルな『台灣同志遊行2017』は、祝福の拍手とともに幕を下ろしました。
文/山縣真矢(TRP共同代表理事)
『台灣同志遊行 2017』
日時:2017年10月28日(土)
テーマ:澀澀性平打開開 ,多元教慾跟上來 Make Love, Not War―Sex Ed is the Way to Go
参加者数:約12万人
公式サイト:https://www.twpride.org
●関連サイト
https://trp2017.trparchives.com/news/notice/4714
https://kazukimae.com/taiwan-lgbt-pride-2017
●関連動画
https://www.youtube.com/watch?v=TFo8dhxeYS8
https://www.youtube.com/watch?v=Yl0AC3yXvJw
『台灣同志遊行 2017』に参加したTRPスタッフのフォト&リポート
■杉山文野(TRP共同代表理事)
僕にとっては5度目となる台北プライド。アジア初となる同性婚も決まった台湾のパレードは今までにも増して盛り上がること間違い無し! と前から楽しみにしていたイベントのひとつ。更に今回は日本から歌手のMISIAさんも一緒に参加してくださるとのことで、とってもワクワクしながら準備を進めました。
今回日本から用意していったメッセージは3つ。台湾の婚姻平等を祝うと共に次は日本でも! という思いを込めた「恭喜台灣婚姻平權 日本接棒!」、日本と台湾だけでなく、アジア中のLove & Peaceなパワーを集め、繋いでいきたいという思いを込めた「United Asian Pride」、そしてTRP2018のテーマである「Love & Equality」。そのメッセージの入った大きなフラッグをフロート上で力強く振るMisiaさん、日本から一緒に行った仲間たちや現地の方たちの笑顔が混じり合い、本当にハッピーで最高のひと時になりました。
しかしその舞台裏では……。
今回は国内のみならず台湾でも非常に人気のあるMisiaさんにTRPフロートに乗っていただくということで、例年とは比べ物にならないほど現地台北パレード事務局との確認事項が盛りだくさん。フロート車の手配、装飾、現地でのセキュリティ、交通規制、ステージ段取り、広報確認etc. 現地代表者とお互い第二言語でのやりとりに苦戦し、直前までほとんど大事な確認が取れないまま……。準備の途中からは楽しみどころか心配事しかなく……こんなに不安な気持ちで台北入りしたのは初めてでした(苦笑)。 最終的には様々な人に助けられ、なんとか無事にパレードを終えることができ本当によかったです。ご協力いただいた皆さま、本当にありがとうございました。掲げた3つのメッセージをひとつひとつ形にできるよう、また来年のパレードに向けて頑張りまーす!
■山田奈津美(TRP副代表理事)
過去最大規模となった今回の台北パレード。午前10時に会場ステージ裏に行くと既にスタッフの皆さんが準備に取り掛かっていました。公道を封鎖して設置されたステージの脇には巨大なモニターとステレオが配置され、音出しが始まると胸が高鳴ります。
パレードは午後14時頃スタート。数十メートルにも及ぶ大きなレインボーフラッグを持った先頭集団に続き、各フロートが出発します。私たちのフロートにも日本から多くの方たちが駆けつけてくれました! 毎年参加している法被隊や、エイサー、着物を着たグループは華やかで現地の方たちにも大人気。
今回の特別ゲストMISIAさんがフロートに上がると、盛り上がりはさらにヒートアップ! たくさんのファンが駆け寄り、彼女の名前を呼びます。小柄な身体で “United Asian Pride” の巨大な旗を振ったり、“Love is Love” のプレートを掲げ、沿道からの声援に応えていました。世界中から集まる参加者と一体となって「Taipei Pride」を盛り上げてくれました。
■どーも(TRP理事)
今年のパレード参加者は10万人超えだと言う。確かに今年歩いてみて、沿道から見ている人が以前より少なくなり、パレード参加して歩いている人の方が多いのではという印象を受けた。諸外国からの参加者ももちろん増えているだろうが、それだけでは万単位の参加者数は難しい。これまでのパレード等を通じたLGBTの可視化、そして同性婚に向けた法制化の動き、それらの活動が当事者の意識を変え、沿道で見るよりもパレードで実際に歩くということにつながっているのではないか、そう感じている。
台北パレードに毎年参加してそのような変化を感じる一方、一参加者の観点では、規模が大きくなるにつれて全体像が見えにくくなっている気がする。参加者数増に対応するために主催者側はパレードルートを複数設けるようになったが、結果として、他ルートでどのようなフロートが出走し、どのようなメッセージを発信しているかを生で感じることができにくくなった。規模が大きくなる中での贅沢な悩みかもしれない。
滞在中、ふと手に取った旅行者向けの無料情報誌にも10月28日はゲイパレードと書いてあった。名称は多少違っているものの自然な形で掲載されており、台湾全体でLGBTが受け入れられつつある一端を感じた。
今後も、単にパレード規模の拡大のみならず、特にここ2,3年は台湾におけるLGBT関連の動きは目を離せないだろう。よい刺激を受けつつ、東京でのパレード活動に生かしたいものである。
■on Lee(TRP理事)
韓国(ソウル)パレードには何度か行ったことがありますが、台湾(台北)のパレードは今回が初めて!
大事な告知が直前に届くといった場面が多々ありましたが、韓国で青年期を過ごした私には何てことなく。親しみさえ覚えました(笑)。
団体のフロートを出していたので気を張る場面もありましたが、今までのパレードで一番安心して歩けたかも。
きちんとした列を作る必要なく自由に動けて、表だって妨害する人もいなくて、どこを見渡してもパレードを祝福する笑顔でいっぱい!
仕事モードの東京、戦闘モードのソウルとは違った楽しさがありますね♪
次回は一つのフロートに付いて歩くのではなく、沿道のどこかにベストポジションを見つけて、たくさんのフロートを眺めてみるのも面白そうです。
■伊芸祐輝(フロート・隊列部門長)
台湾でのパレードは、まるで「お祭」のような雰囲気でした。日本とは大きく違い、受付する必要もなく、誰でも好きな時に、好きなところを、好きな時間だけ歩けるというパレードはとても居心地が良く感じました。
1つのフロート(グループ)の中にいると最後尾が見えないほど人が歩いています。皆さん思い思いの衣装やフラッグ、メッセージなどを掲げ、個性を表現されています。沿道からの応援も多く、沿道の方も一緒に歩いていて、ガードレールがないため、どこまでがグループなのかわからなくなるほどでした。その一体感はアジア最大級を誇る『台湾同志遊行』ならではと感じました。
今回、東京レインボープライドのフロートにはMISIAさんが乗車されるということもあって、他のフロートより人は多く感じましたが、MISIAさんが乗車された途端、車が動けないほどの人、マスコミ。MISIAさんのお陰でとても盛り上がったフロートとなりました。なにより参加されている方々の笑顔が忘れられません。参加している人、応援している人、たまたま見た人。パレードは色々な方が一体となれるのが本当の醍醐味だと改めて実感しました。
『東京レインボープライド』の当日はパレードを運営する側にいるため、パレードに参加する側の立場を経験できたことは非常に有意義でした。台湾同志遊行の運営をされている皆様に感謝申し上げます。
■今川雅嗣(営業部門長)
パレードコースが長く結構疲れた(2時間強)。
ただ、車線も複数封鎖されるので広がって歩け解放感も高かった。
警察官の存在を気にせず歩けた(数自体が少なかった)。
また、日本人で東京のパレードには来ないけれど台湾パレードには行くと言っていた人に会ったし、確かに実感としてもそういう人が一定数いる印象を受けた。
パーティー感というか遊び人? な感じの人たちも参加しているという印象を受けました。
日本のパレードではパーティー感が今一つなのかもしれないと感じました。
ブース類は日本の方が充実していると感じました。
ただ、あまり会場を回れていないので気づけていないだけかもしれませんが。
グッズ等見て回りたかったです。
あと、ステージも身内感が高かったです。
最初のレインボーの帯が先頭を切って歩くの日本でもしたいな(そして絵になる)と感じました。
■やすし(物販・清掃部門長)
今年の春ごろより、物販の商品に関する問い合わせで当方とメールをやり取りしていた台北在住のWさんという人がいる。今回、当方がTaiwan LGBT Prideへ参加のため台北を訪問するにあたり、せっかくなので彼と会うことになり、パレード当日の朝に西門のスタバで待ち合わせた。このプチmeetupに立ち会ってくれたのは物販担当理事 (つまりは当方のボス) であるO氏。彼女は台湾訪問が初めてとのことだったが、待ち合わせ場所の位置情報をLINEで共有しただけで時間通りにそこに現れてくれた。スマホの地図を読める人は話が早い。
少し待つと、Wさんがパートナーと一緒に登場。Wさんは何年も連続して台北のパレードを歩いているそうで、その日の午後のパレードも待ちきれずワクワクしている様子だった。まずはお互いのお土産を交換し、4人で他愛のない会話。来月、大阪に旅行に行くんだ → 東京にも来る機会があれば連絡してくれ、とか。臭豆腐が喰える・喰えない、いや食べると旨いからトライしてみてくれ、一方でおれは納豆は無理だ、とか。今回、当方はジェットスターでO氏はバニラなんだ、とか。微熱山丘はこの地球上で一番旨いパイナップルケーキだ、とか、東京にも鼎泰豊はあるが、台北で喰ったほうが美味しく感じる、とか。
そんな雰囲気の中、少しだけ真面目な話もした。台湾で2年以内に同性婚が実現するというニュースを聞いて、とても興奮したよ (I was pretty excited to hear that) 、と当方が言う。Wさんに「ところで日本ではいつ、同性婚を実現するんだい? 」と聞き返されたとき、なんとなしに、当方の口からは「We are trying to. 」というフレーズが出てきていた。なんとなしに、というのは、深く考えずに、という意味でもある。やべー、おれ、なんとなく「We are trying to. 」って言っちゃったけど、TRPをはじめとした、自分が携わっている活動に、ちゃんと考えて取り組んでるのかな。自分の行動が、LGBTQIAの人たちが少しでも生きやすくなる世の中の実現に少しでも役立っているという信念を、ちゃんと持てているだろうか。ちょっと最近、流されてないか... おれ... ?
Wさんたちと別れてからも、そんなことをぼんやりと考えながらパレードのフロート準備の集合場所に向かっていたら、タクシーに写ルンですを忘れてしまい無駄にテンションを下げる当方であった。
■春華(レインボーウィーク部門スタッフ)
東京に比べ、パレードで沿道の歩く雰囲気がとても和やかで楽しかった。トランスフラッグをテイストにした風船で作った帽子をかぶった人がいたり、トランスフラッグやバイセクシュアルフラッグを掲げて歩いている人がいたりして、LGBTやその他のセクシュアリティ全部が集まったイベントでも各々のセクシュアリティにプライドを持って歩いている人がいるのがとても印象深かった。
パレードを歩き回った後に会場に行ったが、台湾語で書かれたプラカードで主張を掲げているトランジェンダーの人がいた。台湾語を読めないので漢字を読み取った推測だが、体と自認の性についての強めの主張であると思われる。ステージでは結構真面目そうな雰囲気での議論が多いと感じた。