オランダ最大の都市アムステルダムで、毎年夏に開催される『プライド・アムステルダム』。この世界有数のプライドイベントを、クライマックスとなる「運河パレード」を中心に、[前編][後編][特別編]の3回に分けてリポートする。
オランダと言えば、2001年に世界で初めて「同性婚」を合法化した国。そのオランダの最大都市で、憲法に規定された首都(首都機能のほとんどはデン・ハーグ)であるアムステルダムでは、毎年7月の最終土曜から8月の最初の日曜までの期間に『プライド・アムステルダム』が開催されている(名称に変遷あり)。期間中には、ダンスパーティーや映画上映、討論会や展覧会など、LGBTQに関する様々なイベントが170以上も行われるという。
その中でも、メインイベントにしてクライマックスとなるのが「Canal Parade(運河パレード)」。アムステルダムという街は、幾重にも扇状に巡らされている運河が特徴的で、この世界遺産にも登録されている運河を生かし、そこをカラフルに装飾された「フロート」が航行するのがキャナル・パレード。アムスならでは、ここでしか体感できないスペシャルなプライドパレードだ。
毎年8月の第1土曜がキャナル・パレードの開催日で、今年は8月4日。
80艘のフロート(ボート)が順番に運河の上を進み、観光客はそれを岸や橋から見学する。今回、パレードに合わせて日本から数名がアムスを訪れるということで、現地在住の仲村一巳さんの手配で、観覧用のボートをチャーターすることができた。そのおかげで、ボートの上でゆったりと、軽食をつまみ、お酒を飲みながら、次から次へと現れる迫力満点のフロートを間近で堪能させていただく機会を得た。
正午をまわった頃。ウォータージェット・フライボードで空中を浮遊する「旗手」が、プライド・アムステルダムの旗を掲げて颯爽と現れる。水上ならでは、パフォーマンスだ。
今年のテーマは「Heroes(ヒーローズ)」。これだけではよくわからないけれど、ホームページの説明を読んでみると、こんなふうな意味合いのようだ。誰にでも自分にとっての「英雄」が存在し、その存在が自分自身やコミュニティを支え、強くしてくれる。そんな英雄の姿に思いを馳せてみては……。最前線を行く国の「プライド」らしく、機知に富んだテーマとなっている。
いくつかのフロートを、写真とともに紹介しよう。
最後のフロートが通り過ぎた後は、チャーターしたボートに乗ったまま、その後ろを追うように運河をクルーズ。「Happy Pride!」と声を掛け合い、他のボートの人たちとも喜びを分かち合いながら、パレードの余韻に浸る。ほろ酔い気分も手伝って、ボートの上での浮遊感も心地よく、なんとも言えない至福の時だった。
取材・文/山縣真矢
■『Pride Amsterdam 2018』
期間:2018年7月28日(土)~8月5日(日)
★「Canal Parade(運河パレード)」 日時:8月4日(土)
テーマ:Heroes
動員:約50万人
公式サイト(英語):https://pride.amsterdam/?lang=en