2018年夏(南半球は冬)。せっかく地球の裏側までやってきたので、番外編として、ペルーの旅のもようを2回に分けて、ちょっぴりご紹介。まずは「リマ編」。

写真・文/山縣真矢

■リマ(Lima)

ペルー共和国の首都リマ。人口約800万人で国内最大の都市。旧市街(セントロ)には、教会や宮殿など、スペイン植民地時代の歴史的建造物が数多く残っており、世界遺産にも登録されている。リマを観光する人は必ずこの旧市街には足を運ぶだろうから、その他で、私が実際に訪れ、印象に残った場所を紹介することにしよう。

ラファエル・ラルコ・エレーラ博物館
資産家のラファエル・ラルコが収集した古い土器などを展示している個人博物館。特に、インカ帝国以前の紀元前後から700年頃にペルー北部の海岸エリアで繁栄した「モチェ文化」の土器が収蔵品の中心をなしている。この博物館のもう一つの目玉が、別館にある「Sala Erótica(エロティックの部屋)」で展示されている「性」をモチーフにした古代ペルーの土器の数々。とても興味深いものばかりで、必見です。
●[公式サイト]http://www.museolarco.org/en/

ラファエル・ラルコ・エレーラ博物館の外観。もとは、18世紀にスペイン貴族の邸宅として建てられた建物。

別館にある「Sala Erótica(エロティックの部屋)」の展示品。

マリオ・テスティーノ美術館[MATE]
ペルー出身、イギリス在住で、ファッション写真家として世界的に有名な、マリオ・テスティーノの作品を展示している私設美術館。旧市街から南へ約10kmほどの海岸線にあるバランコ地区にある。マリオ・テスティーノといえば、1年ほど前、複数の男性モデルからセクハラを告発され話題になった。
●[公式サイト]http://www.mariotestino.com

マリオ・テスティーノ美術館の入り口。

天野プレコロンビアン織物博物館
実業家でアンデス文明研究家でもあった天野芳太郎(1898~1982)が、ペルーでの事業の成功もあって、1964年5月に、自身が収集したチャンカイ文化の土器や織物を展示する「天野博物館」を設立。その後、2015年5月に、アンデス文明に特化した織物専門博物館としてリニューアルオープンした。 ●[公式サイト]http://jp.museoamano.org

 

天野プレコロンビアン織物博物館のファサードと展示物。

ペルー料理
日本では意外と知られていないが、ペルー料理はいま、世界的にとても注目を集めている。「世界のレストランベスト50(The World’s 50 Best Restaurants)」という、イギリスの雑誌『レストラン』が主催するアワードがあるが、2018年は、ペルーから3店舗がベスト50にランクインしている(6位「Central」/7位「Maido」/39位「Astrid y Gastón」)。ちなみに日本も3店舗がランクイン。そして、現在のペルー料理の地位を確立させたということで、リマにある老舗ペルー料理レストラン「Astrid y Gastón」のガストン・アクリオ(Gastón Acurio)氏に「生涯功績賞」が贈られた。ちなみに、ガストン・アクリオを追ったドキュメンタリー映画『料理人ガストン・アクリオ~美食を超えたおいしい革命~』が2015年秋に日本でも公開されている。 
*関連記事
 https://cookbiz.jp/soken/news/world_best_restaurant50_2018/

Astrid y Gastón(アストリッド&ガストン)
今回、ペルー料理レストランの草分け、「Astrid y Gastón」の予約が運良く取れて、ディナーをいただくことができた。ペルー料理の技を駆使し、地元の肉や野菜、魚を見事に調理し(名物のクイ=天竺ねずみも登場!)、彩りも鮮やかに皿に盛り付け、味も香りも食感も飽きさせることなく、最初から最後まで楽しませてくれる全15皿のフルコース。今回、ワインを中心に、このコース料理に合わせた10種類のお酒のコースも付けて、飲み物とのマリアージュも堪能させていただきました。Gracias por la comida.
●[公式サイト]http://www.astridygaston.com

 

 

 

 

 

 

 

セビーチェ&カウサ
ペルー料理として最もよく知られているのが「セビーチェ」だろう。要は魚介類のマリネなのだが、お店ごとに味付けが微妙に異なり、具材も白身魚やタコ、イカ、エビ、ホタテやハマグリなど様々で、その組み合わせの妙もお店ごとに楽しめる。また、トウモロコシやイモなどの野菜が必ず添えられるのだが、例えば紫色のトウモロコシなど、日本のものとは色や大きさ、味が異なる品種もたくさんあって、なかなか奥が深い。そして、どこで食べてもセビーチェにはまずハズレがないのがありがたい。なので、ペルー滞在中、毎日のように食べていた。
そんな中でいちばん美味しかったのが、リマの海岸線バランコ地区から少しはずれた場所にある「Bet」という名の魚介リストランテ。もともと漁師だった店主が、セビーチェを看板メニューとして始めた小さなお店が、地元で評判になって人が人を呼び、あれよあれよという間に、4階まであるビル1棟とその道路を挟んで斜向かいにも店舗を広げた大きなリストランテにまで成長し、今では行列の絶えない超人気店になったのだという。ここのセビーチェはけっこう酸味が強くて、とっても自分好み。エビ、タコ、イカ、貝などの新鮮な具材は厚みがあって、噛み応え十分。噛めば噛むほど滲み出てくる素材の旨みとマリネの酸味のコラボレーションが絶妙だった。
セビーチェとともに、これもペルー料理の定番、ケーキみたいなポテトサラダ「カウサ」を注文した。茹でて潰したジャガイモ(マッシュポテト)に黄トウガラシ粉とレモン汁を入れたものを円や四角にかたどり、アボカドや小エビなどの具材を挟み入れ、ケーキみたいに層にしたポテトサラダ。黄、緑、白といった具材の彩りもカラフルで、なんとも可愛いらしい料理だ。ペルーはジャガイモの原産地で、全国で約3,000以上の品種が栽培されているという。カウサの世界もセビーチェ同様、バラエティに富み、なんとも奥が深そうだ。

地元の人たちに愛されている「Bet」のセビーチェ。

彩りも鮮やか「Bet」のカウサ。

看板のイラストにもなっている「Bet」の店主と記念撮影。

ゲイクラブ「Veletodo Downtown」
リマ・パレード開催の2日前、「Veletodo Downtown」というリマ最大のゲイクラブで、前夜祭的な大きなイベントがあるというので、行ってみた。メインとなる大きなダンスフロアが2つあり、他にも小さなフロアや飲食のできるスペースなどもあり、かなり大きなお店だった。ゲイクラブとはいえミックスで、男女に見えるカップルなどストレートらしき人もけっこう見かけた。フロアでは、ど定番の欧米系ダンスミュージックも時折流れるが、その多くはラテン系の音楽で、ここは南米、ラテン・ワールドだということを実感した。メインフロアのクライマックスには、ボーイズコーラスグループを従えた女性歌手が、ブラスやパーカッションも入ったゴージャスなラテンバンドをバックに、腰をくねらせながらノリのいいボーカルを聴かせてくれた。
●「Veletodo Downtown」公式サイト
 http://mundovaletodo.com

せっかくなんで、リマのドラァグクイーンさんたちと記念撮影!

メインフロアのラストを飾ったラテンバンド。