岡田さんたちからのバトンを受け取り、今回、共同代表になったのが20代のツッキーさん。パレードの隊列の先頭に立ち、マイクを握り、呼びかけました。「私は青森出身者ではありません。でも青森が好きだから、青森で一緒に生きていくことを決めました。どうかLGBT当事者として生きている人がいることを忘れないでください。私は自分自身に嘘をつかないで、青森で生きていきたいって、そう願っています」と。当日は、お母さんも駆けつけてくれて、一緒に歩いたのだそうです。
[ツッキーさんの当日のTwitter(@BuildingCastle)より]
そう! お母さん来てくれたの! 本当に嬉しかった。「みんなの敵は私の敵」だって! つまり、絶対に何が何でも味方になってくれるってことでしょ! こんなん泣いてまうやろ〜 本当にありがとう…
●青森レインボーパレード、いよいよ出発!
2019年の青森レインボーパレードのテーマは「おなじ空の下 You are not alone.」。歩きたいけど一緒に歩けない環境にいる人たちのためにも歩きたいという思いを込めたのだそうです。
前日まで雨になるのではと心配でしたが、集合時間の13時頃には薄日が差すほどの天気になりました。オープニングは、なんと地元「私たちのねぶた自主製作実行委員会」による“ねぶた囃子”。演奏が始まると、それにつられて地元の人たちが「ラッセーラー!」と踊りだし、それはそれは青森らしい、パレードのオープニングとなりました。
いよいよ出発です。駅前公園に集合していた200人以上の人たちが、公道へと歩き始めました。パレードの隊列に参加していたのは、お母さんの体内の胎児から90歳までと幅広く、10代〜20代の当事者たちのなかには、親御さんと一緒に歩く人もいました。筆者はこの3年ほど毎年歩いているのですが、フラッグや手を振るなどといった沿道からの応援が、より格段に支援的になったと感じました。この変化は、岡田さんの選挙による効果も大きいと思います。
青森のパレードは、他の地域もエンパワーしています。岩手では2018年からパレードが開催されるようになりました。さらに、「そらにじ」青森に触発されて、カフェスペースを運営する人たちも、遠く姫路や明石から立ち上がりました。こうした、カフェを通して、コミュニティが生まれ、その繋がりがなんらかのムーブメントを立ち上げる土台になっていくのかもしれません。「故郷を帰れる街にしたい」という幟を掲げ、遠く富山から参加したグループもいました。
青森でパレードの参加者に話を聞くと、新聞やWebで「そらにじ」を知ってから通いだしたという方に多数お会いしました。セクシュアリティは様々だけれど、カフェに集うことで、一人ではないと感じられたとき、そこから前向きなパワーが立ち上がっていくことを、一緒に歩く人たちの言葉から実感しました。
岡田さんは、「パレードが終わると疲れて、来年もやりたい、やるとはなかなか言えない。でも、パレードの感想が聞こえてきたときに、気持ちよかった、歩いてよかった。みんなの笑顔が浮かぶでしょう」と、この数年を振り返ってくれました。